2016年04月04日

“外国人観光客”をめぐって

 毎日新聞は、朝日が少しおかしくなって以降、私が最も信頼するジャーナリズムの一つなのだが・・・

 4月4日のネット版「経済プレミア」に次のような記事が出ている。

[プロが読み解くニッポン経済]
 訪日観光3000万人がもたらす人と人との国際理解
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20160331/biz/00m/010/032000c?fm=mnm

 著者は、メットライフ生命副会長・元日銀理事の平野英治さん。このタイトルのとおりのことを淡々と穏やかに述べているのだが、最初に、かつて日本人も海外で「爆買い」を行い顰蹙を買っていた時代があったことに触れた上で、
訪日外国人の行動やマナーに驚くこともあるし、それは今後も続くだろう。だが一昔前の日本人海外観光客の振る舞いを目にしてきた身としては、彼らの行動が人ごとにも思えないのだ。かつて我々もたどった道だと、少し寛大な気持ちで接することができればと願う。

と述べるなど、私も深く共感できる論旨となっている。また、今後の政策についても説得力のある提言がされている。要するに優れた、素晴らしい論説なのである。

 ところが、おそらく著者の平野氏には全く責任のないことで、私はこの「記事全体」には否定的な印象を持たざるを得ない。
 それは、このブログの以前の記事にも書いたことと同様の「歪んだイメージ画像」がここでも頻出しているからである。

 平野氏が、「中国人観光客」「近隣諸国との相互理解・友好」といったことを特にとりあげて述べているにもかかわらず、記事中にランダムに挿入された写真に写っているのは明らかに「非アジア系」の人々がほとんどなのである。(キャプションが無いことから見ても、編集段階で勝手に挿入されたものであろう)
 「反中・嫌韓」言説を憂慮して見せながら、一方では「中国・韓国・台湾からの観光客など、この日本にとって大切な客人ではない」と言わんばかりのイメージ戦略を展開する。
 そう指摘すれば、おそらく「そんな悪意など断じて無い、つい習慣で・・・」という返事が返ってきそうだが、そうだとすれば、それは根深い「(対欧米)劣等感」の現れと言う他無い。
 “西洋を仰ぎ見て、アジアを見下す”、この国のメディアは100年前と全く変わってないのだろうか。

posted by Cheshire Cat at 23:02| Comment(0) | 報道・ジャーナリズム